坂本花織はGPファイナル逆転Vなるか? まさかの5位発進......「嫌な気持ちは置いて自分の演技を」 (2ページ目)
【冒頭のジャンプがまさかの0点】
12月5日、名古屋。グランプリ(GP)ファイナル、世界最高の女子シングルスケーターが集まった争いは熾烈を極めた。
1番手の渡辺倫果がいきなりトリプルアクセルを決める。2番手の高校生、中井亜美はトリプルアクセルこそ着氷が乱れたが、73.91点とハイスコアを叩き出す。3番手の天才少女、アリサ・リュウ(アメリカ)もミスがなく、静謐だが明朗で、品を感じさせる演技で75.79点と、会場の大歓声を浴びた。
ただ、4番手のアンバー・グレン(アメリカ)は冒頭のトリプルアクセルをパンクさせてしまう。今シーズン、ことごとく成功していた武器が空振り。練習でも、高確率で決めるジャンプだったが、それも五輪シーズンのファイナルの怖さか。
明暗が浮き出たショートプログラム(SP)、5番手でリンクに立った坂本は、表情に少しかたさが見えた。腰に手をやって、点数のアナウンスを待ち、足を叩いて筋肉をほぐしていた。ただ、緊張がなかったら演技にハリがなくなるし、ルーティンに近いものでもあった。ブノワ・リショーが振り付けた『Time To Say Goodbye』を滑り出した時、異変は起きていなかったはずだ。
冒頭の3回転ルッツは成功確率の高いジャンプだった。ところが、これが2回転になってしまう。SPは3回転以上で得点になるルールでノーカウントになってしまい、大きく出遅れた。
「何が起こったのか、よくわからなかったです。お客さんの『あぁ』っていう反応で、初めて気づきました。やっちゃったんだなって。次のジャンプ、アクセルの前に体を反るところでは、これで全部決まるとはあまり考えずに跳んだら、けっこうスパンとハマりました。どうにか切り替えられましたが......」
そう語る坂本は、まさに百戦錬磨と言える。たとえ緊張が襲ってきても、楽しさに還元できるだけの場数を踏んできた。しかし、フィギュアスケートは簡単に制御できるものではない。SPは約2分40秒、どんな実力者でもあらゆることが起こり得る。何ヶ月も精魂を込めて作り上げてきたプログラムが、一瞬で台なしになる怖さを背負っているのだ。
その点、リカバーは見事だった。工夫を凝らしたダイナミックなダブルアクセルで着氷し、3回転フリップ+3回転トーループは12.12点で出場選手のジャンプで一番のハイスコアを叩き出した。プログラムコンポーネンツは36.28点で、やはり出場選手で最高点だった。彼女は実力を見せつけた。
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