【フィギュアスケート】王者マリニンに対抗する術は? 鍵山優真の高い芸術性にヒントがある
11月7日、NHK杯のショートプログラムで首位発進した鍵山優真この記事に関連する写真を見る
【完全勝利を続けるイリア・マリニン】
フィギュアスケート男子シングルの世界王者、イリア・マリニン(20歳/アメリカ)は超人的な領域に達している。
フリースケーティングでは7本のジャンプ、すべて4回転に挑む。10代で史上初の4回転アクセルに成功しただけでなく、それを4回転ジャンプ構成に組み入れている。驚くべきことに6種類の4回転を成功させ、ジャンパーとしての技量は比類がない。
コンビネーションジャンプも型破りだ。4回転ルッツ+オイラー+3回転フリップ、4回転サルコウ+トリプルアクセルと、いずれも史上初めて成功している。その結果、フリーは世界最高得点記録を更新し続け、今シーズンのGPシリーズ・スケートカナダでも228.97点を叩き出した。総合でも、333.81点と同じく世界記録だ。
「人類は何回転できるのか?」。その問いに真っ向から答えるような演技で、そこにもはや是非はない。前人未到の技術で、彼は回り続ける。世界選手権連覇も、GPファイナル連覇も、その結果に過ぎない。今シーズンのGPリシーズでも、フランスグランプリ、スケートカナダでショート、フリーとすべて1位で完全優勝だった。
2024年世界選手権でマリニンは、ショートプログラム(SP)では3位で、当時は宇野昌磨と鍵山優真の後塵を拝していた。しかし、フリーは227.79点で劇的な逆転優勝。そこからは旋風が吹き荒れる。
マリニンは、フィギュアスケートという競技を変革させつつあるのだろう。五輪シーズン、そんなマリニンに対抗する術はあるのか?
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

