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【フィギュア】落ち込んだ鍵山優真を励まさなかったカロリーナ・コストナー「失望の時間のあとに学びの時間が来る」背景に自身の苦悩 (3ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

【どんなに落ち込んでも朝になれば日は昇る】

ーー今季の鍵山選手は、自身で「ネガティブな思考をしてしまう」と話していることがありました。かたわらで見ていて、そのように感じることがありましたか?

 普段の練習では、そこまで自分を責めているようには思えません。ただ、試合の結果を引きずってしまっているかもしれません。毎日練習を積み重ね、練習ではミスのないプログラムを滑れる状態に持っていっているのに、試合に限ってそれをうまく発揮できない。そういった時に、「全然大丈夫」と明るく言える人はいないでしょう。その失望感に対処するには、自分で心をポジティブに持っていかなければなりません。周りができるサポートとしては、「結果で人間を決めつけるようなことをしない」ということです。結果にこだわる人間に育たないよう、言葉をかける時も慎重になることです。

 まあそれに究極のことを言ってしまえば、スケートはただの試合です。たかがフィギュアスケート。人生が終わるわけではない。どんなに落ち込んでいても、朝になれば日が昇る。スケート人生を通じてそれを学ぶことができれば、そこからの人生はもっと肩肘張らずに生きることができますよね。

ーー普段の練習では、ネガティブになることもあるのですか? それとも練習はポジティブに積み重ねているのでしょうか?

 この世界選手権に向けて準備してきた期間は、とても調子がよく、彼の思考もずっとポジティブでした。スケートが大好きでたまらない、という様子でした。たしかに、ジャンプの調子が狂う日はたまにありました。そういう時は、疲れていることが多いので、トレーニング計画を見直していました。

ーー鍵山選手が練習しすぎて、コストナーさんが止めるようなこともあるのでしょうか?

 彼が疲れすぎている時に、話し合って「今日はもういいよ」と言うことはありました。ただ、正和先生チームの計画はかなりまとまっていて、正確なプランなので、ほとんどそのとおりに練習してきました。週に6日練習して、1日休む、くらいの感じです。

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