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【フィギュア】王者イリア・マリニンの日本勢への思い「鍵山優真の技術はお手本」「三浦佳生はおもしろい男」五輪への計画も語る

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

世界王者 イリア・マリニン インタビュー後編(全2回)

 世界選手権の連覇を達成し、男子フィギュアスケート界を牽引する存在となったイリア・マリニン(アメリカ/20歳)。鍵山優真との戦い、日本人スケーターへの思い、そして2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への計画など、彼の現在地を語ってくれた。

世界選手権で連覇を達成したイリア・マリニン(中央)と日本勢トップで3位に入った鍵山優真(右) photo by Noguchi Yoshie世界選手権で連覇を達成したイリア・マリニン(中央)と日本勢トップで3位に入った鍵山優真(右) photo by Noguchi Yoshieこの記事に関連する写真を見る

【鍵山優真は成長のためのお手本】

ーー今回の世界選手権は、鍵山優真選手との優勝争いと言われていました。ショートプログラム終了時点で鍵山選手が約3点差につけ、大きなリードではなかったことは、フリーでの闘争心に影響がありましたか?

イリア・マリニン(以下同) 優真がすばらしい演技をしたことは、とてもうれしかったです。僕の演技でアメリカの観客が盛り上がったあとだったけれど、優真はシーズンベストの演技をした。それは、ものすごい精神力が必要なことです。リンクサイドで彼の演技を見ていたのですが、本当に誇りに思います。僅差ということは、優真がいかに努力してきたか、そして僕がいかに努力してきたか、僕たちの切磋琢磨を示していることなので、うれしいことです。

ーーフリーでは鍵山選手が力を出しきれず、それでもショートの点差を活かして3位となりました。

 とても驚きました。本当に残念なことでした。優真も、この世界選手権で今季のベストを出そうと努力してきていました。フリーの直前に、「お互い頑張ろう」と声を掛け合っていたんです。ショートはあれだけすばらしかったのだから、フリーは緊張したのかもしれません。でも、最後まであきらめずに滑り抜いたことで、表彰台に乗った。それはすばらしいことです。優真は、僕にインスピレーションを与え、向上し続けるよう背中を押してくれる存在です。来季も一緒に頑張りたいと思います。

ーー鍵山選手からは、どんな刺激を受けていますか?

 優真は、大好きな日本人スケーターのひとりです。もちろん僕に刺激を与えてきたスケーターは、羽生結弦や宇野昌磨など、たくさんいます。優真はそのなかでも、スケーティングがとても上手で、エッジワークがとても深く、エッジコントロールにも秀でています。そしてジャンプの着氷がとても柔らかく、伸びがある。僕とはタイプが違うスケーターだからこそ、彼の技術はとても参考になりますし、僕が成長していくためのお手本だと思っています。

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著者プロフィール

  •  野口美惠

    野口美惠 (のぐち・よしえ)

    元毎日新聞記者。自身のフィギュアスケート経験を生かし、ルールや技術、選手心理に詳しい記事を執筆している。日本オリンピック委員会広報としてバンクーバーオリンピックに帯同。ソチ、平昌、北京オリンピックを取材した。主な著書に『羽生結弦 王者のメソッド』『チームブライアン』シリーズ、『伊藤みどりトリプルアクセルの先へ』など。自身はアダルトスケーターとして樋口豊氏に師事。2011年国際アダルト競技会ブロンズⅠ部門優勝。

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