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【フィギュア】世界選手権で初表彰台の千葉百音「過信せず、過小評価せず」 世界国別対抗戦へ「躍進」誓う (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【今季最終戦へ「立ち振る舞いを学びたい」】

 千葉の次の舞台は、4月17日に東京で開幕する世界国別対抗戦だ。シーズン最終戦で、チームメイトがさまざまな意匠を凝らしてリンクサイドで応援する、一種の祭典とも言える大会。これまで自己最高得点を出した選手も多く、リラックスした精神状態で臨める場でもある。

 その大会への抱負の言葉を「躍進」とした千葉。その意図をこう説明した。

「今シーズンは結果を出せた試合も悔しかった試合も両方あるけれど、結果を出せた試合でも反省点が多く見つかったシーズンでした。来季へ向けては自分の今持っているいいところをさらに伸ばして、足りないと思うところもしっかりと補って、さらにパワーアップしていけるようにしていきたい。もう一段階上へ飛び跳ねて、突き進むという感じで『躍進』ということにしました」

 団体戦は初出場となる千葉にとって今回の国別対抗戦は、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の団体戦へ向けても貴重な経験になる。

 大会自体は、日本とアメリカの優勝争いになることが予想され、そのなかでも女子は世界選手権で大躍進したリュウや、緊張から解き放たれて本来の力を見せるだろうグレンとの戦いで、千葉がどの順位を確保するかが日本チームにとっても重要になる。

「個人で普段の試合に臨んでいる時のような緊張感も少しはあると思うけれど、団体戦の楽しさでその緊張がかき消される部分もあります。それがいいモチベーションになって、滑るのが楽しいなという気持ちだけで突き進んでいけると思います。全力で楽しんでいきたいです」

 千葉はそう意欲を見せ、続ける。

「自分を過信せず、かつ過小評価しすぎず、ちょうどいい案配が大事だと思います。点数というよりは、今シーズン最後の(SP)『ラストダンス』と(フリー)『アリアナ コンチェルト』なので、世界選手権に向けてけっこう細かいところを意識してやってきたとおりの濃いプログラムを、悔いのないようにしっかりのノーミスでやりきりたい。

 一緒に出る選手たちは五輪を経験していて、威厳とか貫録が自分とはレベルが違うなと感じていたので、私も自分の実力を出しきるために、その立ち振る舞いも学んでいきたいです。世界国別対抗戦は緊張していても楽しんでいるように見せる、みたいな。そう見せているうちに自分も楽しく感じてくるみたいな、いい流れをつくる試合できたらと思います」

 千葉は来季の五輪シーズンへ向け、世界国別対抗戦でもう一歩ステップアップできる大会にしようとしている。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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