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【フィギュア】世界選手権で初表彰台の千葉百音「過信せず、過小評価せず」 世界国別対抗戦へ「躍進」誓う (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【歓声をエネルギーに変える"いい感覚"】

 千葉が滑った第3組のあとのSP最終組は、予想外の結果が続出した。GPファイナル優勝のアンバー・グレン(アメリカ)は9位発進で、坂本花織も後半の連続ジャンプでミスをして71.03点の5位。四大陸選手権優勝のキム・チェヨン(韓国)も11位だった。

 メダル候補だった3人がともに出遅れるなか、千葉は、74.58点のアリサ・リュウ(アメリカ)に次ぐ僅差の2位発進となった。

「まさか自分が2位になるとは思っていなかったので、すごくビックリしました。でも、前回の世界選手権ではショートで上位に食い込んでいた選手がフリーで落ちていたので、そういうことも踏まえ、フリーはフリーとしてしっかり自分のやるべきことに集中するのが大事だなと思っていました。自分が完璧な演技をしたとしても、それをさらに上回ってくる選手が必ずいるだろうとも捉えていたので、順位は考えずフリーに臨みました」

 そのフリーで、キムとグレンは浮上せず、坂本が合計217.98点で暫定1位になった状況で千葉は出番を迎えた。SPとは違い、その表情には緊張がにじみ出ていた。

「やっぱり世界選手権のフリーで最終グループだったので、すごく緊張感がありました。全日本選手権と同じくらい緊張したけど、最小限のミスに抑えられたのがよかったと思います」

 少し硬さもある滑り出しとなった千葉は、前半の3回転サルコウと後半の3回転ルッツが回転不足となったが、流れを途絶えさせずに滑りきり、スピンとステップはすべてレベル4でまとめる演技。フリーも今季自己ベストの141.80点を出し合計は215.24点と、坂本の次につけた。

 結果は、最終滑走で自己ベストを更新したリュウが合計を222.97点にし、千葉は3位。表彰台に乗ったが満足しきったわけではなかった。

「フリーの内容は100%出しきれたわけではなかったので、悔しさがけっこうあります。でも、時間が経つにつれて、やり遂げたんだという実感が少しずつわいてきて、疲労が一気にきたという感じです」

 そう言って笑顔を見せた千葉は、「自分が表彰台に乗れると思っていなかったので驚きましたが、今回は歓声をエネルギーに変えられるという、いい感覚でショートを滑れたのが一番の収穫でした。その感覚を忘れずにすべての試合で、いい緊張感というか、スケーティングを楽しむという気持ちを忘れずに臨んでいきたいです」と語った。

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