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【フィギュア】復帰1年で世界女王のアリサ・リュウが語る「16歳での引退」「人生の優先順位」「恋しかった疾走感」 (3ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

【2年ぶりの現役復帰 恋しかった疾走感】

ーー引退から2年たって復帰を決めましたが、フィギュアスケートの何が恋しかったのでしょう?

 とにかく速く滑ることの爽快感ですね。エッジを深く倒してぐんぐん滑る感覚や、ジャンプの感覚も本当に楽しいです。とくに氷上を疾走していくスピード感は、陸上の生活では味わえない満足感があります。

ーー2年前までの自分と比べて、成長した実感はありますか?

 あらゆる面が変わりました。まず氷上での身のこなしが変わったと思います。以前よりも自分の体を感じながら滑ることができるようになりました。引退した時は、私は思春期で、背も伸びて体重も増える時期でした。今は、体の変化はもう止まったと思います。だから、自分の重心はここ、というのを安心して感じられるようになりました。

ーー昨年、スケートに復帰すると伝えたときの家族の反応は?

 まずはきょうだいや友人、周りのみんなに話しました。最後まで父には言わなかったんです。だから父が復帰を知ったのは、ほとんど世間の人と同じタイミングです。もちろん父は、私のスケートが大好きだったので、本当に喜んでくれました。父が喜んでくれたことは、私にとってもうれしいことでした。

ーー復帰を決めてからの1年、肉体的、精神的には大変でしたか?

 精神面は、それほどわかりません。幸いなことに、平常心で過ごしています。肉体的には、非常に多くのことを乗り越えました。挙げればきりがないのですが、最初の頃は、スピンをするとめまいがしました。(振付師の)マッシモ・スカリとフリーの振り付けをした時に、彼は3回転ループの直前にスピンを入れたんです。初めて挑戦した時、ループを跳ぼうとしても目が回っていて、自分の身体がどうなっているのかわからない状態でした。復帰直後は、スピン後のめまいが治まるのに1分くらいかかりました。それで体を慣らすために、ひたすらスピンの練習をしました。それが一番苦労したと思います。

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