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【フィギュアスケート】「一回、全部捨てました」樋口新葉の変化と強さ 再び世界の舞台へ

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha

 2月23日に大会最終日を迎えた四大陸フィギュアスケート選手権で日本女子が表彰台を逃した。2007年以来、18年ぶりの悪い結果となった。

 そんななかで、2023年に休養して昨季復帰した樋口新葉が、久しぶりの大舞台で復調の気配が見える演技を見せ、目標の200点には届かなかったものの、合計195.16点の総合5位で日本勢トップになった。

 昨年のGPシリーズ2大会で優勝と2位になり、12月末の全日本選手権でも3位に食い込んだ樋口は、5年ぶりに四大陸選手権出場。また来月、アメリカ・ボストンで行なわれる世界選手権には3年ぶり4度目の代表入りを果たしている。

四大陸選手権で総合5位となった樋口新葉 photo by Raniero Corbelletti/AFLO四大陸選手権で総合5位となった樋口新葉 photo by Raniero Corbelletti/AFLOこの記事に関連する写真を見る 久々のチャンピオンシップ大会の出場となっただけに、樋口はショートプログラム(SP)もフリーも緊張を隠せなかった。

 21日のSPでは冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を軽快に跳んだが、続く3回転ルッツでステップアウトして連続ジャンプにできなかった。それでも、最後の3回転フリップに急遽、3回転トーループをつけることができ、何とか大幅な減点を回避して体裁は保った。

 見せ場のステップでは動きにメリハリがあり、流れもよく表現力を発揮。ジャンプミスが出たこともあり、合計65.10点の7位発進と出遅れるも、樋口本人は演技後の記者との囲み取材では、むしろあっけらかんとしていたのが印象的だった。

「今日すごく緊張していて、練習とはまったく違うし、グランプリとも違う緊張感だなと感じました。シーズン前半に比べるとすごく楽に大きな演技ができているかなと思うんですけど、今日は緊張していることが自分でもわかっていたので、動きが小さくなりがちな滑りでしたが、前よりは底上げができていると思います。

 3回転ルッツのミスは、練習でもなかなかなかったミスだったので、ちょっと悔しいなと思ったけど、後半の3回転フリップに回転不足を取られたものの3回転トーループを跳んだコンビネーションをつけられたのはよかったかな。ミスがあったジャンプの点数だけで、あと5、6点は上げられると思うので、逆にそこだけミスしてしまったことがすごく悔しいです。レベル4を全部取ったなかで、レベルプラスGOEが取れるスケートがしたいなと思います」

 戦っていけるという手応えをつかんでいたようだ。

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