樋口新葉が3年ぶり全日本表彰台「このまま終わっちゃうのかな」から「もっとできる」に復調 (4ページ目)
【世界大会へ向けてもう一段階上げる】
「優勝は狙っていましたけど、いろいろ考えて無理かもしれないって」
戦いを知り尽くした樋口は、夢見る少女ではない。
「正直を言えば、(表彰台は)想像できていませんでした。去年のような結果(12位)で、このままずるずると終わっちゃうのかなとも思っていたので。(2021年に)自分が最後に表彰台に乗ってから、レベルが上がりました。そのなかで休養を挟んで、こういう姿を見せられたのはうれしくて。ショート、フリーでもっとできる印象で大会を締め括れたのがよかったですね」
2025年2月には四大陸選手権、3月には世界選手権の出場が決まっている。
「昨季は復帰のシーズンだったし、力を出しきるのはちょっと難しかったですが、今季は気持ちを切り替えて競技に取り組めました。練習でも試合でも、自分をしっかり持って滑れているなって実感しています。すごく成長できた1年だったなって。ここから、もう一段階上げられるような、結果を残したいですね!」
樋口は、静かに勝利の算段を整える。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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