検索

樋口新葉が3年ぶり全日本表彰台「このまま終わっちゃうのかな」から「もっとできる」に復調 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【限界を超えて渾身の演技を披露】

 そのフリー、樋口は紫のグラデーションの衣装でリンクに入っている。

 冒頭のダブルアクセルから、よどみなく静かに降りる。3回転ルッツ+3回転トーループの大技も成功。3回転ループからスピンの流れも美しかった。サルコウがダブルになったが、コレオではスパイラルで魅了。

 得点が1.1倍になる後半のジャンプも、3回転ルッツ+ダブルアクセル+2回転トーループと華麗に決め、3回転ループ+2回転トーループと流れが途切れなかった。最後のフリップは少し乱れたが、スピン、ステップは力強くレベル4獲得だ。

「サルコウはファイナルでもミスしていて、気をつけながら練習もやっていたんですが、本番でもタイミングずれてしまって......でもファイナルの時から余裕を持って滑るということをやってきた。いつも全日本はすごく緊張するんですが、今年は"やってきたことをやるだけ"って落ち着いていました」

 演技後は冒頭に記したように倒れ込み、起き上がれないほどだった。足に巻いたテーピングは痛々しく、6分間練習前から「あと10分で終わる」と自分に暗示をかけていたという。「息ができないくらい、張り詰めた空気のなかにいました」と語ったように、限界以上まで力を振り絞った結果だ。

 135.35点でフリーは3位。総合206.40点で1点差に満たない点数で千葉を逆転し、表彰台の座をつかんでいる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る