高橋大輔も注目する若手ペア 長岡柚奈・森口澄士「ゆなすみ」の将来性に期待 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【かなだいが注目していた逸材】

 11月24日、ゆなすみはショートプログラム(SP)の『Can't Take My Eyes off of You(君の瞳に恋してる)』で、若々しい恋人同士のような華やぎを表現している。冒頭のダブルツイストは成功。サイドバイサイドのループは1回転になるも、リフトはレベル4で歓声が上がった。

 スロートリプルサルコウは転倒も、スピン、ステップとレベル4。失敗も成功に転じさせ、デススパイラルは優雅に弧を描いて情感を高めた。

「(緊張で)いつの間にか、本番のリンクに立っていた感じでした」

 そう語った森口は強面で口数が多いわけではないが、不思議と取材エリアを和ませる雰囲気があった。長岡のミスも個人のものとしていない。それはペアという競技で欠かせない素養と言える。

「スローは(練習では)ミスがなく、(失敗したが)不安はなかったです。柚奈ちゃんは少しくらい歪んでも(練習では)降りれていました。すごく強い気持ちでできていたはずで」

 昨年の全日本選手権後、筆者はアイスダンスの村元哉中・高橋大輔の「かなだい」にインタビューした。

ーー今回の全日本で一番注目したスケーターは?

 何気ない質問を投げたが、ふたりはそろって森口の名前を挙げていた。

「森口くん、シングルとペア、両方やるって二刀流ですごいなって!(※当時、森口は村上遥奈とペアを組んでいた) ペアのラインもすごいきれいだったし」

 高橋が言うと、村元も「(ペアの)フリーを生で初めて見て、感動しました! 久しぶりにすごいものを見たなって」と絶賛していた。シングルから転向してアイスダンスを追求したふたりだからこそわかる、他のジャンルに挑戦する共感と言うべきか。

 森口はもともと高橋に憧れてスケーターになったそうだが、歴戦のスケーターを魅了する何かを持っていたのだ。

 SPは45.36点の8位スタートだった。しかし、新ペアを結成してわずか半年。トップレベルの選手と差があるのは当然で、初の国際大会で悲観することは何もない。

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