青木祐奈が「全日本ビリのどん底」から取り戻した輝き 新設アカデミーへの環境変更が転機になった (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【自らの振付けでのびのび舞う】

 NHK杯前日に行なわれた日本代表の記者会見で青木は「緊張すると思うんですけど、のびのび自分らしい演技ができるようにすることで、今できるすべてを出して自己ベストを目指したいなと思っています」と笑顔を見せた。

 女子ショートプログラム(SP)の第1滑走で登場した青木は、自ら振付けた『Young and Beautiful』で前日の言葉どおりのびのびと滑りきった。

 コンビネーションジャンプとダブルアクセルで回転不足をとられてしまい点数は伸びなかったが、高い音楽性あふれる表現、一つひとつ丁寧に踏んでいくステップなど彼女のスケートの長所が随所に見られる演技だった。

 演技後は「昨日までの不安に打ち勝てた」との思いから小さく拳を握るシーンも。ずっと武器として磨いてきた3回転ルッツ+3回転ループのコンビネーションは「練習でステッピングアウトをしていたので、片足で立てたのはよかったです」と振り返った。

 観客からの大きな拍手に「すごく気持ちよかったというか、こんなにたくさんの方からの歓声を浴びることは現役じゃないとないと思ったので噛み締めていました」とうれしそうに話す。

 さらに「ケガとかいろいろあってからここまで来られたのはたくさんの方のおかげですし、自分としてもジャンプが少しずつ安定してきたということはいいことなのかなと思います」と、感謝を口にした。

 踊ることが好きで、将来は振付師になりたいという夢がある。「たくさんの方が見ている国際大会で、自分でつくったプログラムで出られたことはとても価値があることだと思いますし、挑戦してよかったです」と、将来に向けての大きな収穫も手にした。

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