本田真凜の目に涙 9年連続全日本選手権進出に「みんながついている、自分ひとりじゃない」 (2ページ目)
【「すべて出しきる」覚悟の演技】
ショートプログラム(SP)、本田は『Faded』で「スケート人生の光と影というか、小さな頃からの思いを曲に込め、自分の人生を表現したい」と意気込んでいた。
「小学4年の野辺山合宿からずっと一緒にやってきた同期も、今日明日で現役最後になるかもしれないって。そういうのを話す、大学4年生になりました。だから、今までやってきたことをすべて出しきれるように」
その覚悟のたまものか、6分間練習では驚くほどジャンプの成功率が高かった。コンディションがよく、体もすぐ温まるのか。ピンクのダウンジャケットをすぐに脱いで、白を基調にブルー、パープルのグラデーションの衣装になると、空気が華やいだ。
本番では、ミスもあった。たとえば3本目のトーループ、「自分から手をついた感じで、もったいない」と悔しさをにじませた。しかし、他はみごとに制御し、スピンはすべてレベル4で美しかった。東京選手権から積み上げてきた練習の成果を見せた。51.84点で、4位スタートだ。
「最近の試合のなかでは、落ち着いて演技できたかなって思っています。まずはショートが終わって5位までに入れるか、が大事だったので」
そう語る本田は、自分と向き合っていたと言う。
「ジャンプの前には、注意点を口ずさんでいました。自分と話すことで、緊張をまぎらわせて。いい方向に転がっていたんですが、最後のジャンプで緊張してしまいました。でも、いい意味で、試合というのではなく、みなさんに喜んでもらえるように、という感じで滑れたと思います」
「一番緊張した」というフリーの演技 photo by Nakamura Hiroyukiこの記事に関連する写真を見る
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