ルフィ役・宇野昌磨が描くアイスショーの夢「現役を辞めたあとにやるとしたら...」 (3ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

――『ワンピース』やマンガの話に戻りますが、マンガから影響を受けることはありますか?

宇野 あります。影響ばかり受けています。小さい時は、「マンガの世界はマンガの世界だ」という気持ちでは見ていなかったですね。「もうひとつの現実」がそこにあるような感覚で見ていて。スポーツマンガだと血のにじむような努力とかをするじゃないですか。それを見て「自分もこれくらいやらなきゃ!」と、本気で思っていました(笑)。今となってはそうは思わないんですけど、マンガの世界を見て熱くなったり。ずっとそうしてきましたね。

――『ワンピース』のなかの印象的なシーンや好きなセリフはありますか?

宇野 シーンも含めて、(チョッパーが登場する冬島編での)Dr.ヒルルクの「まったく! ! ! ! いい人生だった! ! ! !」というセリフが印象的です。いろんな意味がそこに詰まっていて、一番泣いてしまうシーンですし、好きなシーンですね。

――ルフィは海賊王を目指していますが、宇野選手は何の王になりたいですか?

宇野 うーん。僕は一番にはなりたくないというか、みんながそれで喜んでくれるなら目指そうと思ったりします。一番を成し遂げてしまうと、そこから先のつらさというのも見てきているからわかりますし。マンガの世界なら物語はそこで終わるんですけど、現実の世界ではそこからも物語が続くので。一番を目指している時は楽しいんですけど、なってしまうと大変なんだろうなと思ったりしてしまうので、王になりたいというのはあまりない、という答えになっちゃいますね。

――では最後に、宇野昌磨が演じる「ルフィ」をひと言で表わすとしたら?

宇野 逆に皆さんに聞いてみたいですね。稽古もこれからなので、今は僕もどう表わすかわからないんですけど、『ワンピース・オン・アイス』が終わってから、みんなが僕を見てどう思ったのかを知りたいですし、その時自分がどう思っているのかを聞いてほしいなと思っています。また取材しに来てください!

――ぜひお話を聞かせてください。『ワンピース・オン・アイス』、楽しみにしています。

宇野 頑張ります!


Profile
宇野昌磨(うの・しょうま)
フィギュアスケーター。1997年12月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。5歳の頃からスケートをはじめ、2016年から2019年の全日本選手権で4連覇を果たす。2018年平昌五輪銀メダリスト、2019年四大陸選手権優勝、2022年北京五輪銅メダリスト、世界選手権優勝。2022-2023年シーズンは、スケートカナダ、NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権すべてで優勝。世界選手権も優勝し、日本男子初の2連覇を達成した。

『ワンピース・オン・アイス~エピソード・オブ・アラバスタ~』
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11~13日(横浜)、9月2~3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。

プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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