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坂本花織が「点数的な限界」と戦ってきた1年。世界フィギュア好発進も演技後に漏らした不満のわけ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●日本勢の世界選手権連覇へ

 さらに自身の最大の武器はスピードのある滑りから繰り出すダイナミックなジャンプだと承知していながらも、今回のSPでは十分にできなかった点への反省もある。

「スピードを出してジャンプを跳ぶのはリスクもあるので。スピードを落とせばもちろん跳べるから、安定して跳びたいと思えば思うほどスピードを落として跳んでしまうんです。それがきょうはちょっと出てしまったし、強気になれなかったのかな」

 それでも試合に対しては、高い集中力で臨んでいた。坂本は「この大会に来年の世界選手権へ向けた、国別の出場枠獲得がかかっているということを忘れていた」と笑顔。「みんながそれぞれの演技をしっかりやれば、3枠はかたいと思っている」とあっさり言った。

「今回は世界選手権を連覇したいというより、同じさいたまスーパーアリーナ開催だった4年前の世界選手権の悔しさをはらしたいと思っています。

 4年前はベストを出そうと思って追い込みに追い込みをかけて万全な準備をして挑み、ショート2位発進のあとのフリーでミスをして5位。失敗が悔しかった。そのリベンジをすることだけを考えてきました」

 坂本は、SP首位発進に「4年前は2位通過だったけど今回は1位なので、成長したのかなと思います。成長している部分をフリーでもしっかり見せたいと思います」と力強く話した。

 試合前の練習から自信をみなぎらせていた坂本は、日本勢初の世界選手権連覇へ向けて力強いスタートを切った。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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