羽生結弦「震災に遭われた方々の希望というのはなんだろう」 被災者と3月11日の「星降る夜」に思いを馳せて滑った (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●内村航平は「同じオーラを持った人だな」

 羽生によるオープニングスピーチのあとは本郷理華と無良崇人、シェイ=リーン・ボーン、田中刑事が気持ちの込もった演技をし、ヴィオレッタ・アファナシエワのフープを使った演技へと続く。

 さらに3月22日からの世界選手権出場予定のジェイソン・ブラウン(アメリカ)と宮原知子が『メランコリー』と『グノシエンヌ』を熱く演じて、前半の最後は体操の内村航平と羽生のコラボレーションだった。

 そして、体操男子で個人総合五輪2連覇の内村航平とのコラボレーション曲『Conquest of Paradise(コンクエスト・オブ・パラダイス)』を力強い動きで滑り出した羽生は、すばやいターンの流れのなかで3回転フリップを跳ぶ。

「冒頭はデヴィッドさんに振り付けをしていただき、内村さんが登場してからの部分は全部、自分で振り付けました」と羽生。

 舞台のように設置された体操のマット上で内村が伸身宙返りを繰り返す演技とコラボ。さらにあん馬の練習用の円馬で開脚旋回をする内村とシンクロする動きで、羽生はスピンを競演。

 最後に羽生は4回転トーループも跳ぶ力の入った演技を見せた。

 内村は演技をこう振り返った。

「どう合わせるかはけっこう難しいかなと思っていましたが、羽生くんが『僕が合わせるから大丈夫ですよ』というので、『じゃあ、お願いします』と。

 でも僕も演技をしながら滑っているのを横目で見て合わせようとしたし、お互いが合わせようとしているのがやりながら伝わってくるので、すごく面白かったですね。

 羽生くんがスピンをしている前で僕が旋回をしているところは、自分で見てもコラボできていると感じました」

この記事に関連する写真を見る 羽生はこう話した。

「同じオーラを持っている人だなというのをすごく思いました。僕も僕のことに集中してやらないと、自分の演技が流されてしまうというくらいのオーラが内村さんにはあって。

 だからこそ、より自分のクオリティを求めなければいけないという気持ちがありました。実際にやってみて、観客の歓声を聞いて、これはこれで新しい形としてすごく膨大なエネルギーが生まれてくるなと思ったし、何か力の掛け合わせみたいなものが見えたのかなと」

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