羽生結弦「ひとりになった時に帰れる場所を提供できたらいいなと思って」東京ドーム単独公演で大観衆に贈った「ギフト」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by ©2023 GIFT Official

【北京五輪でつかみきれなかった夢をつかむ】

 スクリーンにはモノローグに関係したイメージ映像も数多く映し出された。

『火の鳥』で始まった演技は、『ホープ&レガシー』や、映画『千と千尋の神隠し』の『あの夏へ』と続く。

 リンクの周りにつくられた小さなステージでは、MIKIKO氏が率いる女性ダンサーたちによる「イレブンプレイ」も踊り、照明とともに幻想的な空間をつくり出した。

 そして『バラード第1番ト短調』を滑ったあとには、2022年2月10日北京五輪、そして2023年2月26日という文字が映し出され、明るい照明が当たるリンク上にジャージ姿の羽生が登場すると、「6分間練習です」と英語でアナウンスされた。

 競技選手時代のように、3回転ループから跳び始めてからジャージを脱ぐと、下に着ていたのは昨シーズンのショートプログラム(SP)『序奏とロンド・カプリチオーソ』の衣装だった。

©2023 GIFT Official©2023 GIFT Officialこの記事に関連する写真を見る 4回転トーループ+3回転トーループと、イーグルからの4回転サルコウをきれいに決めた。

 そして、名前をアナウンスされてから本番の演技。北京五輪ではミスをした4回転サルコウをきれいに決めると、大きな歓声が上がる。

 さらにセカンドでは、両手を挙げた4回転トーループ+3回転トーループとトリプルアクセルをしっかり決め、即座にチェンジフットシットスピンに移り、伸び伸びとしたステップシークエンスを滑ってコンビネーションスピンで締める演技。

 会場の大歓声にうれしそうな笑顔で応えると、荒い息をしずめたあと、上を向いて「ありがとうございます」と、丁寧にあいさつをして前半を終えた。

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