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かなだいは「攻めた結果」2度の転倒。高橋大輔は「ショックすぎる。メンタル的に笑えない状況でした」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【渾身のリフトにスピンで魅了】

 アイスダンスは優雅に映るが、そう見せるために筋力や持久力が高いレベルで求められる。厳しい条件のなか、ひとつ大きなミスが出たら台無しになる。それでも、彼らは安全策に逃げなかった。

 とりわけ、フリーの『オペラ座の怪人』は前半から渾身の演技を見せている。

 冒頭のコレオから高いGOE(出来ばえ点)をたたき出し、ストレートラインリフト+ローテーショナルリフト、ステーショナリーリフト、ダンススピンと世界トップに比肩する美しさで、いずれもレベル4だった。

 人生をかけて磨いてきた演技が、観衆を虜にした。

 終盤のダイアゴナルステップシークエンスで、高橋は力を使い果たしたように転倒したが、攻めきった結果だった。

 高橋本人は「倒れた理由はわからない。体は大丈夫」と言ったが、体内の酸素が尽きたように見えた。最後は気持ちだけで体を動かしていたはずで......。

 昨年12月、全日本選手権でかなだいは見事に初優勝を遂げている。カップル結成3年目で、称賛に値した。

 高橋に至っては、シングルで復活したあとに転向したわけで、歴史的快挙だった。全日本をシングル、アイスダンスと、時を経てふたつの種目で制した。

 王者である達成感に浸っても不思議ではなかった。

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