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三浦璃来と木原龍一、GPファイナル優勝も不安で涙になったわけ。北京五輪でのある会話がふたりの絆を深めた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

フリー後の不安と喜びの涙

 だが、初優勝がかかった翌9日のフリーはプレッシャーに襲われた。最初のトリプルツイストはSPと同じくレベル3としたが、滑りには少し硬さも見えて前日のような伸びやかさは少し欠けていた。

 そして次の3回転トーループからの3連続ジャンプは、三浦の最初のジャンプが2回転になり、2回転トーループの3連続ジャンプとなった。

 次のリフトで勢いを取り戻したかに見えたが、続く3回転サルコウは木原が着氷で手をつくミス。さらに後半のスロー3回転ルッツでは三浦が両手をついてしまい、そのあとのスロー3回転ループも手をつくのを何とかこらえる着氷になった。

 演技終了後に舌を出して苦笑いをした木原。ふたりはそのまま氷上に片ひざをついてしばらく会話を交わしていた。そしてキス&クライに座ると、不安そうな表情になり木原は涙を流し始めた。

「今日は僕自身、8年ぶりくらいに3回転サルコウをミスしてしまったので。僕のせいで得点を出せていないのではないかと申し訳ない気持ちになって、点数が出る前は不安になってしまった」(木原)

「私もトーループやスロージャンプのミスで申し訳ないなという気持ちになっていたので。ふたりともあの時は不安がありました」(三浦)

 フリーの得点は、北京五輪で出した自己ベストに4.54点届かず、今季の3戦のなかでも最も低い136.50点だった。それでも1位の表示を見ると、木原はホッとしたような表情を見せ、涙はうれし涙に変わり、三浦やコーチらと抱き合った。

 合計はセカンドベストの214.58点。クニエリムとフレイジャーを1.30点抑え、初の世界タイトルを獲得した。

「ふたりで日本チームとして初めて優勝できたことはすごくうれしいです。ふたりとも細かいミスが出たところは反省ですが、ふたりが初めてプレッシャーと戦う試合だったので、3月の世界選手権へ向けていい練習になったというか、いい経験になったと思います」

 木原がこう言えば、三浦は「シーズン前半でよかった点は、ミスや合わないこともあったけど、最後まで笑顔で滑りきれたこと。練習の積み重ねが演技の自信につなげられた」と話した。

「今シーズンの世界選手権は日本での開催なので、私たちのいいところを存分に見せられたらなと思います」(三浦)

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