「日本のペアの未来は明るくなる」三浦璃来&木原龍一の日本ペア初のGPシリーズ制覇がもたらす効果 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

ふたりでないと進めない

 2020−2021シーズンから2季続けたプログラムを一新し、ショートプログラム(SP)、フリーともに新プログラムで臨む今シーズン。

 木原がSPの『You'll Never Walk Alone』について、「ショートは『人間はひとりでは歩いて行けない』というのがテーマ。今年の僕たちにはすごく合っていて......。僕たちはふたりでないと前へ進んでいくことができないというのを、ケガをしてあらためて感じた。今回の滑りで、それを表現できたかなと思います」と話す。

 そのSPは、最初のトリプル・ツイスト・リフトはレベル2で加点を稼げなかったものの、ふたりには笑顔が見えた。

 3回転トーループもきれいに決め、スロー3回転ルッツでは着氷を大きく乱したが、三浦が「大きなミスがなく楽しんで終われたのがよかった」と話すように、スピードを落とさず演じきり、2位に6点差をつける73.69点で首位発進した。

 翌日、フリーの『Atlas : Two』はふたりにとって初めてのラブストーリー。練習を再開したばかりの不安もあった。トリプル・ツイスト・リフトを前日よりレベルを上げる3にして滑り出したが、次に予定していた3回転トーループ+2回転トーループ+2回転トーループは、三浦が回転不足で着氷を乱し、木原もジャンプを続けるかどうかと迷いを見せて間を開け、1回転トーループをつけるだけのミスとなって減点された。

 だが、次のリフトから流れを取り戻すと、前日失敗していたスロー3回転ルッツもきれいに着氷して1.97点の加点をもらい、のびのびと滑った。そして、2位に19.11点差をつける138.63点を獲得。合計は、北京五輪の自己最高得点を0.13点上回る212.02点にし、ペア日本勢としてGPシリーズ初優勝の快挙を果たした。

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