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フィギュア「りくりゅう」ペアが明かす急成長の理由。試合がない1年で「本当にわかり合えた」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enomoto Asami/JMPA

――世界と戦える実感を得られたのは、2021年3月の世界選手権で10位になってからですか?

木原 そこから「本当にやっていけるんじゃないか」という自信がつきました。その前からコーチからは常に、「お前たちは絶対に、世界トップ10に入る実力を持っている」と言われて練習をしていたけど、正直、世界選手権まで1年間も試合がなかったこともあって、自分たちの実力がよくわからない状態でした。でも、世界選手権を終えて「コーチが言ったことは本当だったんだね」となって。もっともっと上に行けるんじゃないか、と思うようになりました。

――五輪の団体戦のメダルという、日本チームの夢を背負うプレッシャーも感じませんでしたか?

木原 プレッシャーというより、「力になれるんだ」という楽しみのほうが大きかったです。

三浦 団体のメダルも、世界選手権が終わった時点ではそこまで力になれるとは思っていませんでした。「戦える」とは思ったけど、壁はあると感じていたので。それが、今シーズンのオータムクラシック(2021年9月)で目標にしていた200点を出すことができて、「やっとスタートラインに立ったんだな」と思いました。

――それから、自己ベストを更新し続けて北京五輪を迎えましたね。

木原 正直、GPシリーズを戦っている最中はプレッシャーを感じることはなかったです。自分たちが常にスコアを更新できていることの楽しみのほうが大きかったし、世界と戦える自信もついてきていた。自分たちがやってきたことに対して、点数がついてくるのが嬉しかったです。

――出場を決めていた2021年12月に予定されていたGPファイナルは中止になりましたが、もしそこに出ていたら、結果のいい悪いにかかわらず五輪へのプレッシャーが生まれていたかもしれませんね。

木原 それはあったかもしれません。初めてファイナル進出の権利が獲得できたので、中止になってしまったことは残念に思いました。ただ、それがなくなったことによって、勢いを保ったまま五輪に臨むことができた。五輪に向けてもう一度練習プランを立て、じっくりやり直すことができたのは、僕たちにとって非常によかったと感じています。
 
 そんな経緯を経て、"りくりゅう"ペアは北京五輪でしっかり実力を発揮し、続く世界選手権ではメダル獲得という快挙を果たした。

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