坂本花織が明かす五輪銅メダルから世界選手権金メダルの舞台裏。試合前に涙を流した理由 (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamaoto Yumeko
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

――その歓喜のメダルから世界選手権までの日々はメンタルもフィジカルもコンディションを保つのは大変だったと思います。どんなことが支えになりましたか。

 先生から「もう一度、ここを頑張っておけば今後の人生が変わってくる」と言われていましたし、毎日の練習は苦しかったけど、先生がそれに根気強くつき合ってくださいました。先生も同じくらいしんどい思いをしていると思うから、自分も一緒に頑張っていこうという思いです。それと、オンオフの切り替えです。オフの時はスケートのことは忘れて友達と一緒に遊んでいました(笑)。そうするとモチベーションもだいぶ上がってきたので、そこはよかったなと思います。

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――そして世界選手権ですが、ショートはついに80点超え。キス&クライでの様子は何度見ても元気が出ます。とくに、中野(園子)先生が動きまくる坂本選手を引き止めようとしているところが。

 あはは、めっちゃ腕を掴まれて止められて......。それでもジタバタしていました。どんだけ元気余ってんねんと(笑)。でも、世界選手権はいつもあまり点数が出ないイメージがあったので、予想も期待もしていなかっただけにすごく嬉しかったです。ショートは頑張ればできるという自信もあったので、結構思いきってできたなと思います。

――そしてフリーは試合前に緊張のあまり泣いてしまったそうですね。試合前に泣いたのは、同じフランス(マルセイユ)でのジュニアグランプリファイナル以来ですが、やはり来年に開催される、さいたま市での世界選手権の出場枠獲得のプレッシャーは重かったですか。

 はい。表彰台に乗っても3位だったら(3枠)取れないし、「2位以上でないといけない」と言われていて、「マジか〜」と。だから、めっちゃ緊張しました。ミスをしたら点数はすごく下がるので絶対ノーミスをしなくちゃいけない。必死にやりました()。
※日本は、上位2選手の順位の合計が「13」以内となり、世界選手権(さいたま市)出場枠を最大3枠確保した。ちなみに日本2位は樋口新葉で11位。

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