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村元哉中&髙橋大輔が世界選手権初出場へ。日本の過去最高成績の金字塔を打ち立てられるか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【世界選手権で日本最高順位の更新なるか】

 そして世界選手権、かなだいはいよいよトップダンサーたちと同じ舞台に上がる。

 リズムダンス、『ソーラン節&琴』の世界観は、のちのちもかなだいの代名詞として語られるだろう。大漁旗があちこちで上がるような雄壮さから、ヒップホップダンスの異国感的な律動が覆いかぶさる。ふたりの身体から音が鳴り響くような錯覚すら覚えるはずだ。

 四大陸選手権では、冒頭にタイミングがずれて村元が転倒するアクシデントはあったが、その減点以外、上々の出来だった。ミッドナイトブルースは日本選手歴代最高得点を出したワルシャワ杯を上回るレベル4で、ミッドラインステップシークエンスもレベル2から3に上げた。コンディション面を考慮すれば、確実な成長を示していた。

 そしてフリーダンスは、『ラ・バヤデール』。2年目になるだけに完成度は高い。夢の中だけで結ばれるふたりの悲恋を、氷の上に映し出す。最近はリフトも安定してレベル4を獲得するなど、ワルシャワ杯でたたき出した190.16点以上も十分に望めるはずだ。

 今回の世界選手権は、ウクライナ侵攻による制裁によりロシアの有力なカップルたちが出場できない。それでも強敵はそろっているだけに、フリー進出も易々とはいかないだろう。そこで、もし10位以内に入ることができたら、日本フィギュアスケート界に金字塔を打ち立てることになる(過去最高成績は2018年、村元とクリス・リード組の11位)。

「世界選手権では、枠取りという部分でも(10位以内に入って)2枠を取って帰ってきたいです。そうなったら、2023年には(小松原美里・尊組など他のカップルと)一緒に世界選手権という場に立てるかもしれないので。その意味でも、僕たちは世界選手権を精一杯頑張りたいです!」

 そう語る髙橋は寛大で、先駆者的スケーターの矜持をにじませる。

 結成からわずか2年だが、かなだいは濃密な日々を過ごしてきた。短編の連作小説のような味わいがある。フランスでの世界選手権は、ひとつの結実になるはずだ。

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