村元哉中&髙橋大輔が世界選手権初出場へ。日本の過去最高成績の金字塔を打ち立てられるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【予想を覆すふたりの活躍】

 3月23日、フランスのモンペリエで開幕する世界選手権は、かなだい2年目の総仕上げとなるか。

ーー2019年夏にアイスダンサーへの転向を決意しましたが、その時の自分に言葉を送るとしたら?

 昨年のインタビューで質問を投げた時、髙橋は明瞭な声で即答していた。

「覚悟しとけよって感じです。想像以上に大変だぞって(笑)」

 しかし、その成長のスピードは目覚ましい。別競技への異例の挑戦でありながら、次々に予想を覆してきた。アイスダンス関係者の見通しを、はるかに上回った。

 シングルスケーターとして長年、男子フィギュア界を背負ってきた者の決意の違いだろうか?

「昨シーズンから考えると、表彰台は想像もつかなかったです」

 銀メダルを受賞した四大陸選手権後、髙橋はそう振り返っている。

「シルバーメダリストになったうれしさの半面、悔しさもすごくあって。そんな自分にびっくりしています。やっぱりゴールドメダル、表彰台の真ん中に立つのを、ふたりでやってみたいというのは芽生えてきていますね。その先にもいろいろな景色が見られるんじゃないかなって。表彰台に上がると、そうした欲も感じています」

 心の整理が難しい北京五輪代表発表後、見事に結果をたたき出した。そこで生まれた「欲」は、世界のトップを競ってきたスケーターならでは、と言えるか。それは単純な競争心ではない。高潔とも言える探求心だ。

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