宇野昌磨「今はワクワクしています」。NHK杯で掴んだジャンプの手応え「もうひとつ前に進める」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そこからは苦しい道のりだったが、今、フリーで5本の4回転に挑戦するのは、ネイサン・チェンという存在がいる限り、それが必須と考えるようになったからだ。

「僕はこれまで靴を3週間おきくらいに換えていましたが、それだと1〜2週間は調子を取り戻すことに費やさなくてはならないので、自分の練習ができない状況がこの1〜2年は続いていた。今年はオフの間に毎日靴を調整し続けたことで、今練習できる状態につながっていると思います。跳べているジャンプはもともと跳べていたものだけど、それが今、同時に飛べているようになっている」

 宇野はジャンプの好調の要因をこう語るが、「競技のためではなく、見栄えが悪くなるのは嫌だからと思って始めた」というダイエットで2〜3㎏減量できたことも、ジャンプの調子のよさにつながっているのだろう。

 そんな宇野はこの先の挑戦へ向けてこうも話した。

「今、4種類の4回転をやっているけれど、これ以上跳べるジャンプはひとつも存在していない。以前、挑戦したトリプルアクセル+4回転トーループというのもあるけど、それができたとしても得点は上がらないのは明確にもなっています。今まではこの構成を自分のものにするので一生懸命だったけど、これからは今跳べているジャンプをどう有効な構成にするかとか、また新しいジャンプも考えながらやっていきたい」

 ボロボロになってもやり続けるとまで明言した、今季のフリーでの4種類5本の4回転への挑戦。このNHK杯で「世界のトップと戦えるようになった」という手ごたえを得たからこそ、その先へ向けての思いも徐々に芽生え始めている。

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