髙橋大輔が見せた存在感。五輪シーズンに新たな表現の世界を切り拓く (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 髙橋は紛れもない表現者だった。

「スケートを滑り続けたい。滑る仕事を続けていきたいです」

 髙橋はシングルスケーターとして最後の年のインタビューで、その信条を語っていた。

「スケート、やっぱり楽しいんでしょうね。当然、体はしんどいですよ。(着氷する)右足は練習後に腫れてしまって。体の、軸は歪んでいるし、すぐに負荷がかかります。でも、何が楽しいのかって......たぶん、(自分の表現で)会場全体がひとつになるのが好きなんですよ」

 ショーが終わっても、拍手は鳴り止まなかった。会場をひとつにした証だろう。

 今公演が終わったら、髙橋は競技者として22年北京五輪出場に向けて挑むことになる。アイスダンサーとして2シーズン目。すでにリズムダンスのプログラムも完成し、新しいスピンやリフトも挑戦中だ。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る