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コロナ禍のフィギュアスケート中継。現場ディレクターの創意工夫と奮闘 (2ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamaoto Yumeko
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 こう話す藤田さんは、コロナ禍が明けても新しい試みは続けていきたいと語ってくれた。

 そして、10月には2020−2021シーズンの競技が開幕。全日本フィギュアスケート選手権大会への最初の予選となるブロック大会は無観客開催が決定していた。そこでフジテレビが決断したのは、大会のライブ配信だった。

「ブロック大会の次の東日本・西日本選手権大会まで無観客開催が続き、親御さんも生でお子さんの試合が見られない。もちろんファンのみなさんも直接試合が見られない中で、選手たちの頑張っている姿、全日本へ勝ち進んで行く道のりを全国の人に伝えられたらいいなと思い、始めました」

 ブロック大会、東日本・西日本フィギュアスケート選手権大会、全日本ジュニアフィギュアスケート大会の配信を経て、いよいよ日本のトップ選手が集結する全日本フィギュアスケート選手権を迎えた。まず、準備段階から例年とは違うことが多数あったというが、一番大きかったのは全日本選手権が初戦、さらに新プログラムお披露目の場でもある選手がいたことだ。

「フィギュアスケートの演技を放送する時、カット割りというものがあるのですが、リンクサイドの各所にカメラを何台も設置し、『演技内容によってどのカメラで見せたいか』『このポーズの時は表情を逃さない』など、秒単位まで細かい打ち合わせをして本番に挑んでいます。ですが、私たちも羽生結弦選手や紀平梨花選手などの新プログラムを見たのは現地での公式練習が初。カット割りを担当するディレクター、技術、カメラマン全員で公式練習を見てから、全集中で打ち合わせをしました。

 そのような状態で生中継がスタートするというのは、私たちもかなりのプレッシャーでした。初戦だった選手たちはもっとプレッシャーがあったと思います。そこですばらしい演技を披露した選手たちは、本当に気持ちが強いなと感じました」

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