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三原舞依が求めるのは善戦ではない。2021年は大人の「アスリート」に (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 SPの演技は、全身が躍動していた。

「(中野)先生からは、『しっかり戦えるところまで戻って来ていますよ』と言ってもらえています。自分の中ではまだまだと思っていたんですけど。毎日練習する中で、どう(体や気持ちを)コントロールすればいいのか、見つけられつつあるのはあるのかもしれません。体力は戻ってきているので、あとは自信をもって。練習は裏切らない」

 彼女はそう言って、フリーに挑んだ。

 しかし競技者として、体力的にSP、フリーをそろえるのは簡単ではないだろう。1年半のブランク。スケーティングスキルは変わらなくても、強度を戻すには時間がかかる。力を入れたくても、どこかで入りきらない。

「ただただ、実力不足と練習が足りていないなと思います」

 自らを叱咤するように三原は言った。病気明けのシーズンであることを少しも言い訳にしない。彼女にだけ、見えている風景があるのだ。

「試合でベストを発揮できないのは、弱さの一つで。それは気持ちの持っていき方もあるかもしれません。まだまだ"フツー"の人。しっかりしたアスリートになれるように、練習を積んでいきたいです。2020年最後の試合は、自分の中で満足がいっていません。2021年はどんどん大人になって、レベルアップした三原舞依になっていたいと思います」

 三原は柔らかい表情と可愛らしい声で、実に高邁な志を示した。その芯は揺らがず、太い。

「まだまだ伸ばせるところはあるので、諦めずに練習を頑張りたいです!」

 2021年、三原はリンクで力強く、艶やかに舞う。

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