2020.12.31

樋口新葉はトリプルアクセル挑戦にこだわる。北京五輪へ前進あるのみ

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 11月のNHK杯同様、全日本選手権でもショートプログラム(SP)とフリーでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑んだ樋口新葉。SPでは転倒、フリーでは着氷したもののステップアウトで両手をつく失敗で、大技の成功は次戦に持ち越しとなった。SPは61.53点の13位と出遅れ、フリーは133.51点をマークしたが、合計195.04点の総合7位に終わった。

 フリーでは冒頭のトリプルアクセルで失敗した後、少しリズムが崩れて他のジャンプにもミスが出た。

 樋口はSP後のコメントでトリプルアクセルについてこう振り返った。

「今回の試合も、もともとトリプルアクセルを入れて頑張りたいなと思っていました。練習でも跳べていなかったので、少し調子が悪いなと感じながらも、試合本番ではきっちり決めたい気持ちで滑りました。試合で初めて、結構ひどい転び方をしたので、そこからうまく切り替えができなかった」

 さらにフリー後には、悔しさを隠すことなく、まだ完成には至らないトリプルアクセルへの手応えを口にした。

「これまで練習してきたトリプルアクセルが跳べなかったことがすごく悔しかった。それでも、ショートもフリーも挑戦したことにすごく意味があると思うので、来年に向けてまた、たくさん練習していきたいと思いました。こういう緊張感のある大会で、それも大変なシーズンだった中、何回も挑戦させてもらい、すごくいい機会になったので、今季は挑戦したことが一番良かったんじゃないかなと思います」

全日本選手権ではSP13位、フリー8位、総合7位に終わった樋口新葉全日本選手権ではSP13位、フリー8位、総合7位に終わった樋口新葉  樋口が試合で初めてトリプルアクセルをプログラムに組み込んだのは、今年2月、ソウルで行なわれた四大陸選手権のフリーでのこと。トリプルアクセルと認定された豪快なジャンプを見せたが、残念ながら転倒した。

 それでも、やっと試合本番で追い求めてきた大技に挑戦できたことが大きな一歩となったのは言うまでもない。練習でいくら跳べても、試合で跳んで成功させなければ道は開けない。それまで固く閉まっていた扉を、そびえたっていた壁を、わずかでもこじ開け、崩した瞬間だった。