2020.10.06

三原舞依がいるべき場所に戻ってきた。「この瞬間を待っていた」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

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10月3日、フィギュアスケート近畿選手権SPを滑る三原舞依  リンクに飛び出した三原舞依(21歳、シスメックス)は、小さくはずむようだった。黒いジャージに黒い手袋、鮮やかなピンクのドレスの裾がひらひらと見える。すでに体は温まっていたのか、すぐにジャージを脱ぐと可憐な全身が露わになる。肩を動かし、風に前髪が揺れ、衣装についた石が小さな星のようにきらめいた。息遣いが荒くなり、手袋も脱ぐ。残り1分になった練習、氷の上に乗っている時間を愛おしむように彼女は跳ねていた。

「まず滑る前ですかね。自分の名前を(会場で)コールしてもらって、試合に戻ってきたなぁ、というのが嬉しくて。先生に『いってらっしゃい』と言われて、『ただいま』という気持ちで氷に乗れたのが嬉しかったです」

 三原は、朗らかな表情で語った。約1年半ぶりの公式戦。彼女はいるべき場所に戻ってきた。

 10月3日、大阪府立臨海スポーツセンター。三原は近畿選手権のショートプログラム(SP)に登場している。病気を患い、リンクから離れざるを得ない日々だった。久しぶりの実戦で、試合を戦う勘や肉体が戻っていないのは当然だろう。

 しかし、氷の上に立つ三原は笑みを漏らしていた。

「まず練習再開が嬉しくて」