17歳・紀平梨花が目指す完全無欠。自分に勝てば、誰にも負けない (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Noto Sunao(a presto)

「パーフェクトな演技がしたい」と常に高い目標を掲げる紀平梨花「パーフェクトな演技がしたい」と常に高い目標を掲げる紀平梨花 紀平は、細心熟慮の人である。

「(全日本フリーの前は)本当に気持ちはヤバかったです。すごく不安で。昨年は調子が上がらず、トラウマになって」

 彼女は言う。

「全然、お昼寝もできなくて。寝る時にビクッとしたり、不安なんだなって思いました。睡眠は課題で、どんな状況でもできるのか、というのを試されているんだなと。最後は、気持ちをポジティブに持っていくことができました。すごく調子が悪くても、"爆笑しておこう"って。疲れの具合も、朝(の練習の時)よりはよくなっていて。6分間練習が終わるまでは(やれる)確証を持てなかったですけど、修正できたなって思いました」

 自己省察が習慣なのだろう。一つひとつの行動に伴う感情まで観察し、克明に分析。それを次の行動に生かしている。

<ねぇ、集中してる? 足は動いている?>

 紀平はそう自分に問いかけるという。自らと対話し、体の動きを調整。確認し、叱咤し、注意を促す。そうして自身を冷静にさせ、焦りや迷いに振り回させない。超然として滑ることができるのだ。

 紀平が、紀平を強くしている感覚か。

「パーフェクトな演技がしたい」

 彼女は高い目標を淡々と言う。

「どの試合も安定して、自己ベストを越えられるようにしたい。レベルを取りこぼさず、ひとつもミスしたくないので。とにかく集中って。自分を見つめて、冷静に演技できるように。それで、観てくれる人のすべてを惹きつけるような滑りがしたいです」

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