2020.01.13

髙橋大輔は、不安と希望が混在する第2のスケート人生でも全力だ

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

第2のスケート人生を歩み始めた髙橋大輔(写真は昨年のメダリストオンアイス) 1月10日に初日を迎えたアイスショー、「アイス エクスプロージョン2020」の初回公演後だった。

「エク、エスプレ……エクスプロージョン! めっちゃ言いにくくて。自分で考えたんですけどね」

 髙橋大輔(33歳)は髪をくしゃっと撫でると、おどけるように言った。その人柄のおかげで、ほのぼのとした空気になる。公演で、すべての力を一度使い切ったのだろう。他にも言い回しが出てこず、困った顔で目じりを下げた。隣で会見したバイオリニストの宮本笑里に助けられ、「頭が働かないです!」と面映ゆい笑顔を作った。

 しかし演技そのものは、スケーターとしての気迫に満ちたものだった。

「リハーサルから美しさや輝きに圧倒されていましたが。髙橋さんは、ものすごく目力があって。アイコンタクトした瞬間、ぐっと引き寄せられるものがありました」

 共演した宮本が、感嘆するほどのパフォーマンスだった。

 2020年も、スケーターとしての髙橋は光彩を放っていた。

 2020年から、髙橋は村元哉中と組んでアイスダンサーとしてスタートを切ることになった。

 シングルスケーターとしては、2019年12月の全日本選手権で幕を閉じた。日本人男子スケーターとして、初の五輪メダリスト、世界選手権王者になっている。膝のケガは過酷な運命だったが、それも乗り越えた。そして4年ぶりの復帰で、全日本では2位になった。その競技人生は、伝説的な記録と記憶に満ちたのものだ。