髙橋大輔がシングルのフィナーレで示した、あきらめずにやり続ける姿 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 現役復帰に関して、彼に訊ねたことがあった。

―自分がスケーターとして築いてきたものを失う怖さはなかったですか?

「ありましたよ」

 髙橋は素直に答えた。

「でも現役復帰する時点で、"昔のことはいいや"と決めました。"新しくつくり直す"っていう現役復帰です。自分は先を見て、過去はすべて置いてきました」

 シングルスケーターとして復活を遂げた髙橋は、一つの作品を作り上げた。30代で現役に復帰し、全日本で2位になるという記録は快挙だが、それは彩にすぎないだろう。それ以上に、"あきらめずに好きなことをやり続けることで、人に愛される"という姿を示したのだ。

「来年も全日本の舞台に戻ってこないと、やばいですよね。いい区切りになりました。(アイスダンスでカップルを組む村元)哉中ちゃんにしごいてもらって、戻ってこられるように!」

 最後、取材陣に拍手で送られた髙橋は、いつものように顔をくしゃっとさせ、柔らかく笑った。

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