2019.12.31

全日本選手権を見て考える日本女子フィギュアスケートの現在地

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

2019年の全日本選手権は紀平梨花が初優勝した 紀平梨花の初優勝という結果になった、全日本フィギュアスケート選手権女子。今季シニアデビューしたロシアの3人、アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワが高難度のジャンプを武器に席巻していることを考えると、やや寂しい結果になった。

 優勝した紀平は、グランプリ(GP)ファイナルでは時差調整に苦しんでショートプログラム(SP)ではミスを連発していた。それでも、フリーでは転倒はしたものの、初めて4回転サルコウに挑戦した。そのファイナルから中1週で全日本選手権というスケジュールは昨季も経験しているが、思い切っていこうという気持ちで臨んで優勝した昨季とは違い、今季のファイナルは強力なライバルが3人いる中で表彰台を期待されていたが4位。肉体の疲労に加え、精神面での疲労も昨季より大きかったはずだ。

 紀平は「これからは、ショートでは連続ジャンプを後半に入れたいと思うし、フリーでは必ず4回転サルコウを入れる構成でやっていきたい」という決意を口にしていたが、疲労もある全日本でその構成を回避したのは賢明な選択でもあった。

 SPでは最初のトリプルアクセルでミスをして73.98点だったが、フリーでは朝の公式練習で調子がいまひとつだったトリプルアクセルの修正に力を入れ、しっかり決めたのはひとつの自信になるだろう。

 また、ふたつ目のトリプルアクセルからの連続ジャンプでは3回転トーループが回転不足になって基礎点を下げていたが、それ以降はノーミスの滑りで合計を229.20点にして優勝。SPとフリーのミスがなければ235点に乗せていた可能性もあり、疲労がある状態でも力は出し切ったと言える。

 それ以外の注目選手たちは、ハードスケジュールだった紀平とは違い、準備期間をしっかり取って仕上げてきたはずの大会だっただけに残念な結果だった。