2019.12.29

髙橋大輔がシングルのフィナーレで示した、
あきらめずにやり続ける姿

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 全日本フィギュアスケート選手権を前にしたインタビューで、髙橋大輔は少し悟ったような顔つきでこう答えていた。

全日本選手権で、シングル最後の演技に臨んだ髙橋大輔「(昨年は目標に掲げて達成した)最終グループ入りは、昨年よりずっと難しい。表彰台はもっと。今年はそんなにうまくいかないですよ。自分も、ずっとスケートをしてきたからわかります」

 しかし、昨年は2位という奇跡を起こした。

「昨年がよすぎただけですよ」

 髙橋は優しい口ぶりで言いながら、こうも続けていた。

「でも試合って出るからには、少しでも上の順位を狙うじゃないですか? 僕自身、無理だな、と思います。でも昔からそうですけど、高いところを目指していないと、そこには絶対にたどり着けない。優勝目指して、4、5番なのも当たり前で。僕にとって、優勝は無理だけど表彰台はわずかな可能性、奇跡としてはあって、そこを目指すつもりで」

 たしかに、髙橋はそうやって物語をつくってきた。2010年のバンクーバー五輪では、右ヒザ前十字靭帯断裂及び半月板損傷から奇跡的な復活を遂げ、メダリストになっている。

「復活劇をつくる!」

 髙橋にはその確信があったという。その後も、彼は歴史をつくっている。男子シングルで2010年に世界選手権優勝を果たしたあと、2012年グランプリファイナル優勝も達成した。どれも、日本人男子初の記録なのだ――。

 最後の舞台となった全日本で、髙橋は勝負を捨てずに臨んでいる。

 しかし結果から言えば、ショートプログラムが14位、フリーは10位。総合では12位に終わった。それが、シングルスケーターとして最後の記録である。

「演技自体は、ショートも、フリーもどっちもボロボロでした」

 髙橋は言う。