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紀平梨花vsロシア4人。
GPファイナル女子はスリリングな展開必至 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 NHK杯ではSPでトリプルアクセルをしっかり決めるなど、各要素でしっかりGOE(出来ばえ点)加点を稼ぎ、昨季の世界国別対抗で紀平梨花が出していた世界最高得点を更新する85.04点で首位発進。フリーでは2本目のトリプルアクセルがステップアウトになるミスはあったが、そのほかの要素は完璧に決めて合計240.00点と、トゥルソワに続いて240点台に乗せてきた。さらに、演技構成点も9点台前後で揃える高い評価を得ており、フリーでもノーミスの演技ができれば、合計を247点まで伸ばせる計算だ。

 また、トゥルソワもSP、フリーともノーミスで4回転サルコウを決めれば、あと5点強は加算できるだけに、ファイナルでノーミスの競演になった場合、247点前後の優勝争いになる可能性も出てきた。

 一方シェルバコワは、4回転ルッツを2本入れているフリーでは、3回転ルッツも2本入れて、スケートアメリカでは回転不足がふたつありながらも160.16点を出している。だが、この時のSPは得点源になっている後半の3回転ルッツ+3回転ループの回転不足などのミスで67.60点。合計も227.76点にとどまった。

 2戦目の中国杯では、SPで73.51点を出したが、フリーでは冒頭の4回転ルッツ+3回転トーループのルッツで回転不足を取られただけではなく、SPを含めてルッツは4回転と3回転の5本すべてで"ノット・クリア・エッジ"の判定。まだミスが多く、テクニカルスペシャリストの判定に左右される不安定さがあると言える。

 そうした状況で、今季のGPシリーズでは2戦とも230点超えと安定している紀平梨花にも、優勝のチャンスは十分ある。SPでは、左足首故障の影響で3回転ルッツが跳べないことと、ロシア勢と違い連続ジャンプを前半に入れているハンディはあるが、その構成でもノーミスなら81~82点は可能だ。

 NHK杯のフリーでは、後半の連続ジャンプの3回転トーループが回転不足になって減点されたが、それがなければフリーで155点台が可能で、合計は237点前後になる。さらに冒頭のサルコウを4回転にできれば、基礎点の増加だけでも合計は240点台に乗せられる可能性を持っている。彼女が目指しているのは「完璧な演技」だが、その中に4回転サルコウを入れられるかどうかも見どころになる。

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