坂本花織の自信。紀平梨花の強気。フリーで問われるのは適応能力だ (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 シニアデビューシーズンだった昨季は、シーズンを疾走して階段を駆け上り、五輪代表にまでなった。2年目の今季は、北京五輪に向けて、自分の立ち位置を確実にするための大事なシーズンとなる。初出場となる大舞台で結果を残さなければ今後につながらないことは、坂本自身が一番わかっているはずだ。だからこそ、平昌五輪前よりも練習の質、量をともに増やして、とことん取り組んできた。

「五輪前は朝練1時間だけでしたが、今回は朝練を2時間半に増やして、クラブの貸し切りの夜練習と、一般営業の貸し切りではスピン練習をやったりしましたし、トレーニングも取り入れました。ブノワ(・リショー)先生(フリーの振付師)とは1日8時間くらいの練習をやってきました」

 自信がつくまで練習を徹底する坂本が、試合本番で大きな失敗をほとんどしないのは誰もが知るところだ。

 ただ、勝負に勝つためには、フリーでもしっかりノーミス演技を揃えなければならない。フリーが悪ければ、表彰台のチャンスを逃しかねない。先行逃げ切り型の戦い方をしてきた坂本は、こんな抱負を口にした。

「世界の頂点を目指しているけど、いまはフリーでノーミスをするだけだと思っていますし、気持ちも前向きに捉えているつもりです」

 ノーミス演技で好発進した坂本と対照的に、ハイリスクハイリターンの大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に持つ紀平梨花は、NHK杯、四大陸選手権と同様にトリプルアクセルで失敗。合計70.90点と得点が伸びずに7位と出遅れた。

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