「気張りすぎていた」羽生結弦。
逆転勝利のためにやるべきことは

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

SPでは思うような結果出なかったが、フリーで逆転を狙う羽生結弦SPでは思うような結果出なかったが、フリーで逆転を狙う羽生結弦 好調であるがゆえの落とし穴だったかもしれない。3月21日の世界フィギュアスケート選手権男子ショートプログラム(SP)で、羽生結弦は自信を持っている最初の4回転サルコウがパンク。0点になるスタートになってしまった。

 昨年の平昌五輪前よりも、3週間長いケガ明けの調整期間を取れた今回、ここまでの準備は問題なかった。

「4回転ループを跳べるようになったのは3週間前くらい。五輪のときとは違って、今回はループを跳ばなければいけないという使命感も強くなっているので、それを跳べるだけの筋力の強化もしてきました。フリーも滑り切れる体力がついたと思う」と本人が言うように、19日の公式練習から見せていたのは、キレのある動きと、明るすぎるほどの姿だった。

「ちょっと気張りすぎたというのはありますね。応援してくれている人たちの期待を受け止めたいというのはもちろんありましたし、このプログラムに対してもすごく強い気持ちがあった。何よりロステレコム杯(ロシア大会)でいい演技ができていたからこそ、あれを超えたいという気持ちもあってすごく貪欲だったと思います」

 SPの『秋によせて』は、シーズン初戦のオータムクラシックではミスがあったが、グランプリ(GP)シリーズ・フィンランド大会ではノーミスの滑りで106.69点を獲得していた。

 そして、次に出場したロシア大会ではさらに磨きをかけて、「たぶんこの構成ではマックスの得点だと思う」という110.53点を獲得していた。その後、右足首の故障で試合から離れていただけに、今季最大の目標とする今大会で、完璧だと言っていた滑りをさらに高めて、「羽生結弦ここにあり」という姿を見せたかったのだろう。

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