紀平梨花は自分に合格点。正念場の
来季は4回転ジャンプ習得も目指す

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 日本勢は誰も表彰台に乗ることができなかった世界選手権女子フィギュアスケート。日本女子のメダル0は、2004-2005シーズンから正式導入された現行のISUジャッジングシステムのもとでは2大会ぶり4度目となる。

 GPファイナルと四大陸選手権を制覇した紀平梨花、全日本女王の坂本花織、そして昨年の世界選手権銅メダルの宮原知子は、いずれも本来の実力を発揮できず、紀平は合計223.49点の総合4位、坂本は合計222.83点の5位、宮原は合計215.95点の6位に終わった。

 一方、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)は、ショートプログラム(SP)に続き、フリーでもミスのない演技を見せて155.42点を叩き出し、合計237.50点をマーク。2位に12.74点の大差をつけて初優勝を成し遂げた。今シーズンの後半戦はやや調子を落としていたが、最終戦の大舞台にしっかりと合わせ、五輪女王の底力を見せつけた。SP、フリーともに完璧な演技を揃えなければ、優勝をたぐり寄せることはできないことを、あらためて証明したのがザギトワだった。

世界選手権では総合4位に終わった紀平梨花世界選手権では総合4位に終わった紀平梨花 そんなハイレベルな戦いのなかで、今後の伸びしろを期待させ、来季につながる演技を見せたのが、世界選手権初出場の日本の10代コンビ、坂本と紀平だった。

 坂本はSPでパーフェクトな演技を披露。自己ベストを更新する76.86点の2位発進となり、狙っていた「初出場での優勝」へ絶好の位置につけた。坂本自身も、磨き上げてきたフリー曲『ピアノ・レッスン』で巻き返そうという意気込みがあった。

 だが、ジャンプの基礎点が1.1倍となるプログラム後半の得点源、3回転フリップが1回転になる痛恨のミスで、貴重な点数を失った。それでも、フリーの自己ベストを更新する145.97点をマークして、演技構成点ではトップのザギトワに次ぐ73.26点を出せた。それは今季、目覚ましい成長を見せたその表現力を、ジャッジが認めたからにほかならない。

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