紀平梨花、世界選手権に胸高鳴る。「疲労もプレッシャーもない」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 続く2戦目のフランス杯では、平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベデワ(ロシア)や三原舞依らを抑えて、日本勢初のデビューシーズンGP2連勝という快挙を達成。その勢いのまま、GPファイナルでは今季SP世界最高得点となる82.51点をマーク。合計でも自己ベストを更新する233.12点と、世界歴代2位の高得点を叩き出し、日本女子としては村主章枝、浅田真央に次ぐ3人目のGPファイナル女王となった。

 さらに2月の四大陸選手権でも、SP5位からの逆転初優勝を飾るなど、今季は国際大会6戦全勝という偉業を見せている。

 連勝街道をまっしぐらに走ってきた原動力は、なんと言っても伝家の宝刀と言えるトリプルアクセルを試合で最低でも1本は必ず完璧に跳んでいるからだ。GOE(出来ばえ点)でもプラス評価を得るほどその成功率は高く、余裕のあるすばらしいジャンプと言っていいだろう。公式練習でも、トリプルアクセルでまずまずの手応えをつかんでいた。

「今季けっこうたくさんの試合に出てきて、世界選手権までに米国合宿もして、いったん普通の練習に戻ることができた感じだったので、とくに疲労はいま感じていないし、(注目されていることに)プレッシャーもとくに感じていないです。いまはこの大きなリンクでミスのない完璧な演技を目指したいと思っているので、いい心境でいられていると思います」

 昨年12月の全日本選手権では、SPで5位と出遅れ、フリー1位で挽回したものの、総合結果では坂本花織の後塵を拝して2位に終わった。それでも初の世界選手権の切符を勝ち取って、シニアの晴れ舞台についに挑む。

「初めての世界選手権が、この大きなさいたまスーパーアリーナのリンクで、緊張もあるかもしれないですけど、自分らしくSPとフリーでノーミスの演技を揃えられるようにすることを成し遂げたい。この大きなリンク、日本で滑れることがすごく嬉しいので、いい演技ができたらいいなと思います」

 まずはSPで出遅れないことが重要になるに違いない。
 
 一方、全日本選手権で女王の座に就いた坂本花織も、虎視眈々と表彰台を狙っている。

「表彰台の一番高いところを目指してはいるんですけど、まず、いまは自分のやるべきことをしっかりやれば結果はついてくると思うので、SPとフリーをしっかり揃えられるように、まずそれを考えてやりたいなと思います。四大陸選手権が終わってから、ブノワ(・リショー/フリーの振付師)先生に来ていただいて、プログラムのブラッシュアップとスタミナがもつように体力作りとか、最後まで自分が全力で滑れるような筋トレとかをいっぱいしてきました」

 シニア2年目の今季は、平昌五輪代表(総合6位)として注目を浴びたが、GP2大会、GPファイナル、四大陸選手権で、それぞれ2位、3位、4位、4位と、タイトルを取れずじまいだった。世界選手権は初出場となるが、日本開催ということもあり、モチベーションは高い。本番リンクでの公式練習でも、得点源となるジャンプを入念に跳び、調子を上げてきた様子が見えた。

「日本で開催されるということで家族、友達も見に来てくれるし、たくさんの人が見に来てくれるのはワクワクする。その中で自分の演技がしっかりできたら、もっと強くなれるのかなと思うので、しっかりベストを尽くして頑張りたいです。

 SPもフリーも、最初の3+3が決まれば、結構、波に乗っていけるので、しっかり納得いく3+3のジャンプを跳ぶことが大事かなと思います」

 勝利のカギを握る連続ジャンプの成否に注目だ。

 10代の若手2人の勢いに乗り遅れまいと、20歳になった宮原知子も気を吐いている。

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