昨季のシンデレラ・三原舞依は、大人への階段をコツコツと登っている (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 演技後、三原は苦しい滑りのなかで得られた手応えを口にしたが、大会前には"怖さ"を感じていたという。

「1週間前までの練習ではノーミスの演技が何回もできていたのが、モントリオールに入ってからは、理由はわからないんですけど、なかなかジャンプが決まらなかったんです。昨シーズンはずっとミスなく演技ができていて、すごく大きな大会にも出られて楽しかったシーズンでしたが......。『2年目のシーズンは同じようにはいかないのかな』という不安というか、怖さがあったのかなと思います」

 その言葉通り、シニア初挑戦となった三原の昨シーズンは、本人の想像以上のものだった。デビュー戦のネーベルホルン杯で、元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)を抑えて優勝。GPシリーズ初戦のスケートアメリカと全日本選手権で3位に入り、四大陸選手権では日本女子で4人目となる200点を突破して、初出場にして優勝を果たした。

 さらに、国別対抗では自己ベストを218・27点にまでに伸ばし、シーズンを締めくくった。その大躍進は、昨シーズンのフリープログラムになぞらえて"シンデレラストーリー"とも表現されたが、自らを「天才肌ではなく、コツコツ積み上げていくタイプ」と評する三原は、自分の急成長に怖さを感じていたのだろう。

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