ハプニングにも動じず堂々の演技。今季は宇野昌磨から目が離せない (3ページ目)

  • 辛 仁夏●文 text by Synn Yinha  能登 直●撮影 photo by Noto Sunao

 振り付けたシェイリーン・ボーンが本郷の長所を存分に引き出すとともに、成長を促そうと構成したことがうかがえる。シーズン初戦まで残り1カ月ちょっとだが、どれだけ滑り込んで完成度を高めてくるか。いまから楽しみなプログラムだ。このSPで跳ぶ予定という高難度の連続3回転ジャンプをしっかり決めてくれば、各大会で表彰台争いに加われるだろう。

 リハーサル終了後の記者会見で本郷は、この日滑ったプログラムと今季の目標についてこう語った。

「ショートを振り付けてくれたシェイリーンさんが見ているよ、と言われたので、いつもの演技よりも気合が入ったかなと思います(笑)。ジャンプが全部単発になってしまいましたが(苦笑)......。

 今季はいい試合と悪い試合の波がないようにできるだけ自分の力を出し切るようにして、シーズンが終わったときに笑顔を見せられるようにしたいです。たくさん練習して、見られていることを意識して、もっと表現力をつけていきたいです」

 そして今季、最も飛躍的な活躍が期待できるのは、シニア2年目となる宇野に間違いない。そう言い切ってしまいたいほどいい仕上がりだ。

 公開リハーサルでは当初、今季の新エキシビションナンバーを滑る予定だった。名前がコールされ、氷上に立って曲が流れるまで、宇野本人はエキシビションを踊るつもりだったのだ。しかし、流れ始めた曲は、今季のSP『Fantasy for Violin and Orchestra』
(ラベンダーの咲く庭)。動揺がないわけないが、まったくおくびにも出さずに演技を始めた宇野がそこにいた。

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