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【ボクシング】中谷潤人が、井上尚弥戦に向けたLAキャンプをスタート "アメリカのおじいちゃん"の死が「闘うひとつの意味になった」 (3ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 3日目、中谷のスパーリングパートナーに抜擢されたのは、20歳の新鋭だった。5戦5勝5KOのファイター。まだ6回戦ボーイながら、LA近郊に住む世界チャンピオンクラスを互角どころか打ち負かしていると評判のファイターだ。7歳からグローブをはめ、アマチュアでは8度、全米王者となっている。

スパーリングパートナーを務めた20歳の新鋭(右)とスパーリングパートナーを務めた20歳の新鋭(右)とこの記事に関連する写真を見る

 馬力十分の20歳は下がることを知らず、休まずに手を出した。中谷はルディの指示通り、高いガードと足の運びを意識しながら、ディフェンス主体のスパーリングを12ラウンドこなした。相手の出方をうかがい、冷静にリングをコントロールする。20歳のホープに対して強打を振るうことはほとんどなく、タイミングを図ることに重きを置いていた。

「スパーが始まり、本格的にスタートしたなという思いです。これから疲労も溜まっていくでしょうが、そのなかで大事なのは、自分がどう動きたいか、ですね。しっかり体に染みつかせられるようにやっていきます。このキャンプが終わる頃には、考えなくても勝手に体が反応するレベルまで持っていくことがテーマになります」

 キャンプ4日目はアマチュア時代に5度全米チャンプとなり、プロでの4戦目を控えた目下3戦全勝3KOの21歳がスパーリングパートナーを務めた。

 この日も中谷は頭の位置、足の動きを課題としながら10ラウンドをこなした。前日同様、防御を重視したトレーニングだったが、6ラウンド目から動きがシャープになった。

「スピードに乗ったな、という感じです。こちらも手数を出していったので、リズムが生まれたかな。パンチも当たっていましたし、相手の動きもすべて理解できたので。その後は攻撃にバリエーションをつけたんです。

 井上選手との試合は、これまでとは違う闘い方になります。僕は、新しいことをやるのが好きだし、楽しんでいます。だんだんとイメージしたものが出していけるようになってきているので、どれだけ自分に擦り込ませられるか、ですね」

 孜孜不倦(ししふけん)。熱心に、弛まず努力を続ける――。

 東京ドームでモンスターと向かい合うその日まで、中谷はこれまで通り、己のボクシングを追求していく。15歳から走り始めた思い出の地で、自分を超えるためにーー。

(次回につづく>>>)

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著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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