アメリカで注目を集める井上尚弥の対戦相手は、中谷潤人のほかにもいる? 2026年ボクシングの世界情勢 (3ページ目)
【中谷戦以上に待望されているマッチアップとは?】
最後にもうひとつ。アメリカでは井上とジェシー・"バム"・ロドリゲス(アメリカ)との対戦がおそらく中谷戦以上に待望のカードになりつつあることを記しておきたい。すでにフライ級、スーパーフライ級の2階級を制した"バム"は23勝 (16KO) 無敗。2025年はプメレレ・カフ、フェルナンド・マルチネスとの2度のスーパーフライ級統一戦でも連続KO勝ちを飾り、圧倒的な強さと勢いでPFPランキングでも3位まで浮上してきた。
欧米での知名度では"バム"は中谷を上回っており、井上との対戦は正真正銘の軽量級スーパーファイトになる。単なる"大興行"ではなく"メガマッチ"をアメリカで行おうと目論めば、"バム"以外の選択肢はないと言い換えてもいい。現在2階級も離れているのがネックだが、昨年11月に話を聞いた際、井上も現在26歳の若者の力量を認める言葉を残していた。
「試合をフルで見たことはないんですけど、強いとは思っています。好きなタイプのボクサーですし、噛み合うでしょうね。階級を上げてきてくれるのであれば対戦相手候補のひとりとして、もちろん可能ではありますけど、ただ今はまだスーパーフライ級で戦っている選手なので」
身長164cmの"バム"は骨格的にも大きくはなく、フェザー級以上への昇級は難しいのではないか。となると、井上戦の可能性は2026年後半、井上がスーパーバンタム級に残り、"バム"が一気に同階級まで進出してきたときくらい。可能性は高いとは言えないが、頭の片隅に残しておきたいマッチアップではある。
こうして見ていくと、相手はどうあれ、2026年の井上は2試合のビッグファイトを行なう可能性が十分にあることがわかってくる。もちろんまずは難敵"ビッグバン"との戦いに完全集中だが、順調に運べば、そのボクシング人生の中でも最大の1年になるかもしれない。そうなると、上記どおり、PFP1位と年間最優秀選手受賞は射程圏内―――。
軽量級の最前線を走り続けてきた"モンスター"は、もうキャリア終盤に近づいているはずだが、それでもその勢いと充実感が衰えることはない。話題性に関しては、おそらく今がピーク。井上に魅せられた世界中のボクシングファンにとって、目の離せない時間がまだまだ続くことは間違いなさそうだ。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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