【女子プロレス】長与千種の「赤」を背負う暁千華が振り返る壮絶プロテスト Sareeeとのデビュー戦は「感情が出せなかった」 (5ページ目)
真っ赤な紙テープが暁を覆った。使える技はまだ限られている。それでも彼女は、積み上げてきた練習のすべてを絞り出すように技を繰り出し、Sareeeの顔を思い切り張ってみせた。物怖じしない表情と堂々とした佇まいには、誰もが"逸材"の気配を感じただろう。
「Sareeeさんはオーラと圧が本当にすごかった。一発一発がめちゃくちゃ重くて、練習とはまったく違いました。最後、裏投げを食らった時は『やばい、終わった』と思ったけど、(フィニッシュ・フォールドの)裏投げを出してくださったことは、ものすごく光栄でした」
試合後、バックステージで暁に話を聞いた。「負けて悔しい」。しかし、それだけではなかった。「感情が出せなかった」と彼女は言ったのだ。デビュー戦でそんなことまで考えられる選手が、どれだけいるだろう。9歳から女子プロレスを見てきた暁は、プロレスが"感情のスポーツ"であることを理解している。
そして、暁にとって転機となる禁断の試合が組まれた――。
(後編:暁千華は「令和のクラッシュ・ギャルズって呼ばれたいわけじゃない」 19歳が抱く覚悟と大いなる目標>>)
【プロフィール】
◆暁千華(あかつき・せんか)
2006年3月30日、石川県加賀市生まれ。9歳の時、母親に見せられた尾崎魔弓 vs 下田美馬のシングルマッチをきっかけに全日本女子プロレスに夢中になる。高校卒業後、マーベラスに入門。2024年9月29日、新木場1stRINGの公開プロテストに合格。同年10月27日、名古屋国際会議場イベントホール大会でデビュー(対Sareee)。11月16日、キャリア3年未満の選手が争う「じゃじゃ馬トーナメント」を優勝。169cm、72kg。X:@marvelous_SENKA
【大会情報】
■マーベラス後楽園大会
■日時:2025年12月28日(日)開場10:45 開始11:30
■会場:東京・後楽園ホール
■詳細:大会日程 | 女子プロレス団体「Marvelous」マーベラス
著者プロフィール
尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)
1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。
【写真】マーベラス 暁千華 フォトギャラリー
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