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【証言・棚橋弘至】「タンクトップの場違いな奴がいる」 真壁刀義が明かす衝撃の初対面と前座で繰り広げた知られざる闘い (2ページ目)

  • 井上崇宏●取材・文
  • 市川光治(光スタジオ)●構成

── それは彼らを思うというよりも保身のためですね。

真壁 そりゃそうですよ(笑)。練習はどうやったってキツいんだからしょうがないけど、先輩後輩の垣根は極力なくそうとした。何かわからないことを質問された時もちゃんと返すようにしたし、彼らもしっかりやっていたからね。

【ボディメイクという概念を持ち込んだ男】

── 新弟子時代の棚橋選手はどうでしたか?

真壁 入門した時から身体ができてたね。最初にプロレス業界に"ボディメイク"という言葉を認識させたのは彼なんじゃないかな。もともと筋肉質なうえにボディビルの雑誌なんかを熱心に読んでいて、オレらからすると「それはわかる」と。「ただ、オレらはボディビルダーじゃなく、あくまで動ける身体で、相手を倒さなきゃいけない」という認識のもとでやってきたから、結局は根性論なんですよ。

 先輩に言われたとおりにスクワットを何千回もやるし、いくら頑張って汗かいてヒーヒー言いながらやっていても、「やれ、コラァ!」って怒鳴られた。そこを生き抜いてきたので「ボディメイクってどこまで大事なの? 重いものをどれだけ挙げるか、担ぎ上げるか。なのに、それはが重要か?」っていう認識が当時はみんなあった。「パワーがあって、スパーリングが強けりゃいいんだ」っていう考えが100パーだった。

── でも棚橋選手は入門した時からそういう思想とは違った。独自のプロレスラー哲学を持っていたと。

真壁 「見られる商売なんだからボディメイクも大事だ」っていう認識で入ってきてたね。そこに対してはオレも拒否反応があって、「なに言ってんだ、おまえ」って。でも彼はしっかりと通常の練習もこなしていたし、大声も出していたし、気合いも入ってたから合格なんですよ。そのうえでボディメイクをしているわけだから、「ああ、いいんじゃない」って。それは誰も文句は言わないですよ。

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