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【新日本プロレス】棚橋弘至×藤波辰爾 新旧社長対談 「なんでまたオレの時にいろんなことが起こるんだ」 (2ページ目)

  • 取材・文/井上崇宏 取材・構成/市川光治(光スタジオ)

【付き人制度は終わるかもしれない】

── 今は昔ほどガッツリと付き人制度はないんですか?

棚橋 今、付き人をつけているのは永田(裕志)さんと天山(広吉)さんだけですね。僕もヤングライオンの村島(克哉)にちょっとだけ身の回りのことをやってもらっていますけど、僕よりも下の世代に付き人をつけている選手はいないので、たぶん僕が引退して、やがて永田さんと天山さんも引退をされたら、付き人制度は終わるのかなと思います。

藤波 付き人に頼む用事がなくなったのかな。オレらの頃っていうのは、力道山先生が相撲のしきたりをプロレスに持ち込んだから、ただカバンを持つだけが付き人じゃなくて風呂で背中を流すなんてことは当たり前だった。今は宿舎に帰ったら、みんなバラバラで自分の部屋に行っちゃうからね。それに昔は巡業中、ホテルじゃなくて旅館の大部屋にみんな泊まっていたから付き人の仕事もあった。カバンを持って、洗濯をして、背中を流して、シャンプーまでやったよね。それで風呂から上がったら着替えを出して、大広間で食事をする時も給仕をする。

── 付き人をしていて、猪木さんはどうでしたか?

藤波 猪木さんは理不尽なことで怒ったり殴ったりはしなかったね。ちょっとオレが間違ったやり方をしちゃった時も、「そうじゃないんだよ。こうやるんだよ」ってアドバイスしてくれる感じだった。ご飯なんかも「ちょっと茶碗を貸してみな。メシはこうやってつぐんだよ」と。猪木さん自身も力道山先生の給仕をやっていた経験があるから、たとえば「ご飯は茶碗からはみ出すくらいてんこ盛りにしちゃダメだよ」って。

── 美味しそうに盛るんですね。

藤波 そう。「食べる人が美味しそうに見えるようにつぐんだよ」ってね。背中を流す時もまずタオルを半分に折って、その部分に手を乗せてやったら洗いやすいとか。

棚橋 ずっと残したい日本の文化ですね。

藤波 学校では絶対に習わないことをたくさん教えてもらった。

棚橋 その所作に無駄がなく、美しさがあるという。

藤波 たしかにね。でも力道山先生は厳しかったから、田中米太郎さんなんかはよくしゃもじで殴られてたよ。「そんなメシの焚き方あるか!」って殴られて、いつも頭にメシ粒がいっぱいついてた(笑)。

棚橋 漫画みたいですね(笑)。 

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