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井上尚弥に「年齢的な衰えは感じない」 元ヘビー級王者が語ったモンスターの「本能を目覚めさせる相手」の名前 (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

【井上vs中谷、実現したら何が勝敗を分ける】

 予想を訊ねると、最重量級の王座を2度獲得した67歳は語った。

次戦に向けて調整中の中谷 photo by Soichi Hayashi Sr.次戦に向けて調整中の中谷 photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る

「試合当日、ディフェンス力の高い方が勝つ。これから一年間、どういうトレーニングをして、いかにボクサーとしての自分を築くか、それに尽きる。イノウエはパワーがある。今回のカルデナス戦を見ればわかるように、プレッシャーのかけ方もうまい。

 一方のジュントは背が高く、リーチもある。そしてパンチもある。なんといっても伸び盛りだ。まさに、『Sky is the limit(可能性は無限にある)』という言葉が相応しい。

 一番肝心なのは、ゴングが鳴った時の精神状態だな。言うまでもなく、こなした世界タイトルマッチの数はイノウエが優っている。ジュントは来月が10回目だったよな? それは、ジュントが5歳若いのだから仕方ない。俺がラリー・ホームズの持つWBCタイトルに挑んだ時って、メンタルがすごく充実していた。『8歳上の盤石王者を食ってやるぞ』と思っていたよ。当時、俺は15戦全勝11KO。ホームズは42戦全勝30KO。確か、15度目の防衛戦の相手が俺だった。"勝ち慣れ"したホームズには、隙があったように思う。1―2の判定で負けたけれどね......」

 いまだに、あなたの勝ちを唱える人が多いじゃないですか、と告げると、ウィザスプーンは笑った。

「今さら、そんなことはどうだっていい。心身ともに、いかに己を研ぎ澄ましてリングに上がるかだ。ジュントにとっては、とてつもないチャンスだろう。サウスポーというアドバンテージもある。実に心が踊るよ。間違いなく、歴史に残るファイトになるさ」

 頂上決戦は、日本のみならず世界中で注目されている。

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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