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井上尚弥に「年齢的な衰えは感じない」 元ヘビー級王者が語ったモンスターの「本能を目覚めさせる相手」の名前 (3ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

 そして、井上尚弥の衰微を指摘する声を、ウィザスプーンは否定した。

インタビューに答えたウィザスプーン photo by Soichi Hayashi Sr.インタビューに答えたウィザスプーン photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る

「2、3ラウンドと、チャレンジャーのチャンスだと感じるような場面もあった。でも、ラウンドが進むにつれて、そんな俺の感情は消えた。とにかくイノウエが、カルデナスを追い詰めていった。何度もロープを背負わせ、動きを止め、リングをコントロールするようになったよな。ダウン後に焦らずに立て直すなんて、衰えていたらできっこない。トップレベルだからこそ成せるんだ。32歳だが、年齢的な衰えも俺は感じない。

 イノウエはいつも勝つ。それに慣れている部分があるかもしれない。新たな刺激が必要かもな。テストみたいなさ。トップに君臨しているモンスターだからこそ、本能を目覚めさせてくれる相手が必須なんじゃないか。それによって、さらに持っているものを引き出せるかもしれない」

 その対戦相手として、思い浮かべる選手は? と質すと、ウィザスプーンはニヤリとして言った。

「それは、お前のほうがよくわかっているだろう」

 あなたの口から聞きたいです、と告げると彼は応じた。

「ジュント・ナカタニに決まっているじゃないか。イノウエvs.カルデナス戦後の記者会見でだって、いつになるかと聞いたアメリカ人記者がいたんだろう。複数階級を制している全勝のチャンピオン同士。しかも、互いに日本人で1クラスしか違わないなら、誰だって興味が沸くさ。ボブ・アラムにしてみたら、アジア・マーケットでこれ以上のビジネスチャンスはない。

 しかも、マイク・タイソンがジェイムス・"バスター"・ダグラスに敗れた、ボクシング史に残る会場(東京ドーム)だろう。あの時、ウチの兄貴はタイソンのスパーリングパートナーとして、トーキョーに同行していたんだぜ。俺だって、ぜひ見たい試合だよ」

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