山中慎介が分析する、判定が議論になった那須川天心の試合 ターゲットとなる王者・堤聖也と比嘉大吾の激闘も語った (3ページ目)
――天心選手には、世界のベルトを獲ってから武居選手と統一戦でやりたいという希望があるようです。となると狙うのは、WBA王者の堤聖也選手になりそうですか?
「中谷と西田が統一戦に動き出しましたし、絞られますよね。天心と堤が決まれば、面白い対戦になります。天心はすべてオーソドックスの選手を相手にしてきましたが、堤はスイッチできますし、オーソドックスにはオーソドックス、サウスポーにはサウスポーで戦うことが多い選手です。天心にとって初のサウスポー相手の試合になる可能性が高いですね」
――天心選手もモロニー戦後、次戦は「サウスポーともやってみたい」と発言しています。
「天心は、実はサウスポーのほうが得意とも言っていますね。堤はスイッチですから、純粋なサウスポーとはまた違いますが」
――堤選手は、歩くようにして左右を入れ替えて打ちますね。
「そうですね。相手からすれば、やりづらいスタイルだと思います」。
――天心選手と堤選手、相性はいかがでしょうか?
「これはわかりやすくて、堤が距離を詰めていけるかどうかに尽きます。あの無尽蔵のスタミナを生かして前に出続けて、打ち続けることができるかどうか。そこが勝敗のポイントになると思います」
【比嘉との激闘で、堤が逆境を跳ね返した「本当に大きな一発」】
――堤選手は2月24日、比嘉大吾選手と激闘を演じました。解説席から見ていかがでしたか?
「戦前から好勝負になる予想はしていましたけど、それ以上の名勝負だったと思います。9ラウンドのダウンの応酬なんて、マンガの世界のようでした。
比嘉(右)と激闘を演じたWBA王者の堤 photo by Yanagawa Go!/ヤナガワゴーッ!この記事に関連する写真を見る
前半のラウンドは比嘉が、後半は堤が取った試合でしたね。立ち上がりは静かでしたが、比嘉がジャブを出すタイミングがよく、堤が前に出られなくなりました」
――4ラウンドの偶然のバッティングのあと、堤選手が前に出ましたね。
「堤は右目上をカットしましたから、4ラウンドが終わって試合を止められたら、それまでの採点で勝敗が決まる負傷判定になります。その場合、ポイントでは分が悪いと考えていたはず。だからこそ一気にギアを上げて前に出たんでしょう。ただ、それでも比嘉は冷静に、タイミングよくパンチを当てていましたね」
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